子どもの心を取り戻す大人の空間、3つのポッドを連結したオフグリッドのツリーハウス
スコットランドの広々とした農場の木々の間に建てられたツリーハウス、「An Off-grid Treetop Hideaway by echo living」。3個の大中小のポッドを組み合わせたデザインで、まるで細長い足のある生き物のようだ。
メインポッドは3m×3.5mの寝室とキッチンダイニング。中間の大きさのポッドにはバスルームがつながっており、最小ポッドにあるコンポストトイレが独立している。スコットランドでは珍しい、日本でいうところの「バス、トイレ別」の間取りだ。最小ポッドには他に太陽光発電用の設備などがおさめられている。
コルゲートパネルを使用した屋根部分。厚さ200mmの壁面には、140mmの羊毛製防音・断熱材が設置され、室内の温度は快適に保たれている。壁は一枚板ではなく、熱を貯めてゆっくりと空気中に放出する合板を採用し、メインポッドにはウッドストーブもあるので寒さ対策は心配ない。
このツリーハウスはオフグリッドハウスでもあり、電気とお湯は250wのソーラーパネル2台によってまかなわれる。
バスルームはバスタブとシンクのみのシンプルな構造だ。もともとカップル用にデザインされているので、メインポッドに続くドアを開けておくと、湯船につかりながら、リビングにいるパートナーとの会話も楽しめる。また、一人でゆっくりしたいときには、ドアを閉めればプライベートな空間にもなるのだという。
内部のインテリアはパステルカラーでとてもポップ。キッチンも小さいが必要な設備は揃っている。テーブルとイス、二人掛けソファーもあるのでゆっくりと寛げそうだ。
明かり取り用は50個以上もの小さな窓になっている。これは木々の間からこぼれる木漏れ日を表現したものだそうだ。
寝室には天窓がしつらわれ、朝にはベッドに横になったまま太陽の光を楽しむことができる。また、夜には月明かり、星明りも楽しめる。このツリーハウスがよりそう木は、冬には葉を落とす広葉樹で、ラッキーな滞在者はハウスからオーロラが見られるかもしれない。
このツリーハウスにはオーナーの意向により、あえてテレビとwifiは設置されていない。豊かな自然の中で、デジタルデトックスな休日を過ごせるように、との配慮からだそうだ。
ツリーハウスというと子供が楽しむものと思いがちだが、この家は子供の心を取り戻したい、大人のための贅沢なツリーハウスである。
(文=加藤聖子)